急性虫垂炎の診断で腹腔鏡下手術を施行した虫垂子宮内膜症の1例

摘要

子宮内膜症は月経困難症や腰痛の原因となり，生殖年齢婦人の5-15%に発症すると言われてい る。腸管壁に子宮内膜が存在している場合は腸 管子宮内膜症と呼ばれており，そのうちでも虫垂 に発症する例は比較的稀である。今回，急性虫垂 炎を疑い腹腔鏡下手術を施行し，術後に虫垂子宮 内膜症と診断された症例を経,験したので報告する。以上から急性虫垂炎，回腸末端炎と診断したが， ィレウスや腹水貯留所見なく，緊急性はないと判断した。まず，抗生剤（CTRX)を投与しinterval appendectomyの予定で入院加療を行った。しか し，発熱，腹痛が軽減しなかったため搬送後12時 間で再度血液検査を施行し，白血球数15，750/mm~3 (neutro 91.9%) ， CRP 8.45と炎症が増悪してい た。そこで，腹部単純CTを施行したところ，来 院時の腹部CTと比較して虫垂所見に変化はな かったが，周囲の腹水貯留と回腸の拡張がより広 範囲となっており腹膜炎所見を認めた。最終的に は急性虫垂炎，麻痺性ィレウス，汎発性腹膜炎の 診断で全身麻酔下に緊急腹腔鏡下手術を施行した。