心筋病変を認め，心室細動を来した 成人型家族性房室ブロックの1例

摘要

患者は48歳，女性で，母親（詳細不明）と妹（房室ブロック）がペースメーカ植込みをうけている．Ⅰ度房室ブロックと心室内伝導障害で通院していたが，失神発作で入院した際，刺激伝導系の広範な障害と左室収縮能の低下がみられ，石室心内膜心筋生検で心筋細胞の変性が認められた．ペースメーカを植込み，外来通院していたが，1年後，心室細動にて心肺停止となり，電気的除細動で救命された．本症例は左心機能低下，石室心筋生検での有意病変を伴い，心室細動を来した家族性房室ブロック（FAVB）の1例と考えられた．また，本例は，不整脈と伝導障害を主徴とする電気的障害型心筋症（ECD）の概念にもあてはまり，ECDとFAVBの関連性について，きわめて興味深い症例といえる．