小児救急診療は小児医療の原点である.しかし,各subspecialty分野の専門医教育を重視する我国の多くの大学病院小児科では,稀有な疾患を診療·研究対象として救急診療に積極的ではない.小児救急診療の担い手が減少し社会問題化している現状で,我々は大学病院小児科の社会的責務として小児救急診療を重視した新たな卒後研修プログラムを開始したので報告する.目的:H16年度から当科での初期·後期研修プログラムを一新した.各々の目標は,初期研修医には小児1次救急初期診療の担い手となるための基礎的知識·技能·態度を修得させ,後期研修医には外傷を含めたあらゆる小児救急疾患の初期診療に対処できる能力を修得させることとした.方略:初期研修では,病棟診療以外に小児救急に関連した講義·実習プログラムを作成し1か月日には小児蘇生実習などで小児救急診療のアウトラインを理解させ,2か月目に臓器別の小児疾患の講義を行った.後期研修では,Neonatal Life Support,Pediatric Advanced Life Supportのプロバイダー資格取得を義務化し,一般小児科,新生児科研修を各1年行う.残り1年は,小児循環器·集中治療·麻酔などを専門的に研修出来る施設で呼吸·循環管理を中心に重症小児救急患者に対応できる能力を体得させた.考察:卒後研修教育改革が,研修医の意識改革を促し,subspecialty専門医教育偏重の問題を改善できるのではないかと考える.
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