不妊治療におけるメンタルケアのためのグループアプローチの有用性

摘要

当院では体外受精コーディネータによるカウンセリングや治療教育の機会である「不妊教室」を実施していたが,この度メンタルケアのためのグループを導入した.本研究では,不妊治療におけるメンタルケアのためのグループアプローチの遵人について報告し,その有用性について検討した. 1997年5月から1998年4月までに参加した38名の患者にアンケート調査を実施し, 21名.(55.3%)より回答を得た. 17名(81%)の患者がグループに参加して満足し, 19名(90.5%)の患者がグループが役に立つと応え,メンタルケアのためのグループが, ①仲間との出会いによる孤独感の解消, ②十分な感情表出によるカタルシス, ③体験的情報の交換による不安の緩和に対して有効に機能し,不妊患者の精神的安定に対する右効性が高いことが明らかとなった.今後,不妊治療を行う各施設においてメンタルケアのためのグループが広く展開されることを期待したい.