害虫防除作業者集団におけるフェニトロチオン散布とその尿中代謝物量との関連

摘要

【背景】有機リン殺虫剤（OP）のフェニトロチオン（FNT）は体内で代謝され、他のOPの代謝物でもあるジメチルリン酸（DMP）、ジメチルチオリン酸（DMTP）に加え、FNTに特異的な3メチル4ニトロフェノール（MNP）として尿中に排泄される。 これまでに我々はGC／MSを用いた尿中総MNP量の高感度測定法を開発し、曝露が少ないと考えられる集団においてもMNP量の測定が可能であることを報告した（第78回日本衛生学会）。 FNTは日本で使用量の多いOPの一つであるが、特異的な尿中代謝物であるMNPを用いたモニタリング報告は少ない。今回、我々は害虫防除作業者集団を対象とし、害虫防除作業の多い夏と少ない冬に散布と尿中FNT代謝物との関連を明らかにすることを目的とした研究を行った。