小腸移植と免疫抑制剤

摘要

小腸移植は短腸症候群などの腸管不全に対する根本的治療法として期待されており，これまでに世界で約2,000例の移植が行われている。最近の移植後短期成績は向上し，移植後1年生存率は80%以上と，他の臓器移植の成績と比較して遜色のないレベルになっており,欧米では静脈栄養から離脱不可能な小腸不全患者はすべて小腸移植の適応と考えるむきもある。日本国内では，これまでに13例の患者に対し15回の小腸移植力Sせわれている。症例数はいまだ少ないが最近の成績は著明に向上しており，小腸移植症例登録報告献'>で解析された2007年までに小腸移植受けた12例（14回）の累積生存は，移植後1年の患者生存率が83%, 5年生存率は59%で，2003年以降に行われた7例はすべて生存しており，海外の成績に匹敵するものとなっている。