涙小管炎に角膜潰瘍を併発した1例

摘要

重症の角膜漬瘍を併発した涙小管炎の1例を報告する。症例：83歳，女性。右眼に多量の眼脂と結膜充血，角膜;脣瘍を認め，視力は眼前手動弁に低下していたため抗菌薬で治療を開始した。 涙点より排膿があったため涙道内視鏡検査を施行したところ，涙小管内の菌石と総涙小管閉塞を認め た。涙道内を郭::青することで眼脂は著明に減少したが，結膜充血は遷延し，角膜の菲薄化はさらに進行 した。フル才ロメ卜ロン点眼を追加することで充血は消退したが角膜はDescemet膜瘤となった。眼脂 の鏡検と培養から放線菌が同定された。結論：放線菌による涙小管炎に角膜潰瘍を併発した1例を経験 した。放綽菌感染は角膜実質を溶解させる炎症を生じることがある。