プレナリーセッション耳鼻咽喉科医と高齢社会高齢社会の現状と問題点

摘要

日本は世界有数の長寿国である.厚生労働省の平成23年度簡易生命表"からの平均寿命では男性79.44歳，女性85. 90 歳であった.65歳まで生存する人は，男性が86.9%,女性が93.1%であり，また75歳まで生存する人は，男性で 71.9%,女性で85. 9%となっている.65歳までの生存率はほぼ頭打ちであるが，75歳までの生存率は，さらに増加傾向 が続いている.平均寿命の延長に伴って高齢者人口は急速に増加している.内閣府の平成24年版高齢社会白書2)によれば，65歳以上 の高齢者人口は，昭和54年に1,031万人と1,000万人を超え，19年後の平成10年に2， 051万人と2， 000万人を超えた.その 14年後の平成24年には高齢者人口は3， 074万人となり，3， 000万人を超えて総人口に占める割合は24.1%と約4人にひと りとなった.日本の高齢者の割合は世界一であり，日本は世界一の高齢社会になっている.今後もこの増加は続き，平 成47年には33. 4%で3人に1人となり，さらに平成54年以降は高齢者人口が減少に転じても高齢ィヒ率は上昇を続けるも のと予測されている.高齢者のうち75歳以上人口はさらに速い速度で増加を続け，平成29年には65?74歳人口を上回 り，その後も増加傾向が続くものと見込まれている.