胸腔鏡手術のリスクマネジメント

摘要

わが国では胸腔鏡手術という名前で2とおりの手技が行われている.腹腔鏡下手術などのほかの内視鏡手術と同様,モニターで得られた画像をみることを中心として行う手術(いわゆる完全胸腔鏡手術)と,胸腔鏡はむしろ光源として使用し,皮切は小さいもののそこから覗き込んで直接術野を目でみて行う手術(小切閑直視併用手術)とである.この2とおりの手術は異なったトレーニングを必要とする.いわゆる完全胸腔鏡手術では二次元の画面であるモニターをみて手術を行うトレーニングが必要になるし,小切開直視併用手術では長い手術器械に慣れるようなトレーニングが必要である.小切閑直視併用手術では本質的に従来の手術手技を踏襲しているため,むしろ従来の手術でのリスクが当てはまり,そのマネジメントを行うことで対処できると考える.