リコンビナン卜ヒ卜線維芽細胞増殖因子-2 (rhFGF-2) 局所投与の胫骨骨幹部骨折に対する効果 -ランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験

摘要

成長因子，サイト力インに代表される内因性の局所因 子の骨折治癒過程における役割の解明は，骨代謝領域に おいてもつとも注目を集めている研究対象の一つといえ る.線維芽細胞増殖因子（fibroblast growth factor ： FGF)は，全身のほとんどの組織に存在し多様な生理 作用をもつ成長因子で，23のサブタイプがすでに報告 されている.また，現在までにPfeiffer, Apert, Crou-zon, Jackson-Weiss症候群などの骨格形成に異常をき たす骨系統疾患の多くがFGF受容体（FGFR)の遺伝 子変異によることが知られている.なかでも特に注目 に値するのは，成長軟骨の障害により小人症をきたす代 表的な疾患である軟骨無形成症（achondroplasia)およ び致死性異骨栄養症(thanatophoric dysplasia)のtype IIが,FGFR 3の変異に起因していることである.以 上の事実より，FGFシグナルが発生段階および成長期 における骨軟骨形成の制御に重要な役割をはたしている ことは明らかである.