肝左葉切除(拡大肝左葉切除を含む)

摘要

肝左葉切除(左肝切除，left hepatectomy)は高難度手術の中で，肝臓外科の基本手技を網羅した定型的な肝切除である。術野が比較的一定しているので，日本肝胆膵タ科学会高度技能医認定のためのビデオ審査にも適した肝臓手術と言える。肝細胞癌，肝内胆管細胞癌，肝門部胆管癌，転移性肝癌，生体肝移植に対し適応される。肝左葉は左側尾状葉を含めても全肝容積の30%程度であり，慢性肝障害，閉塞性黄疽例においてもTCG13分値補正値が20%以下なら切除可能なことが多い。肝左葉が肥大した症例，慢性肝障害例では肝左葉の容積を測定し切除の安全性を確認する。腫瘍の種類，位置，大きさ，外科切除断端の確保，腫瘍の肝門進展により尾状葉温存左葉切除，左尾状葉切除する定型的な肝左葉切除，中肝静脈合併の拡大左葉切除，肝外胆管切除，リンパ節郭清を伴う尾状葉合併拡大左葉切除を行うか判断する。