まれな転移様式（月華内胆管転移）を示し，かつ化学療法が奏効し長期生存中の乳腺悪性葉状腫瘍の1例

摘要

乳腺葉状腫瘍は乳腺腫瘍全体の0．3～1．0％を占める比較的まれな疾患である。 線経上皮性腫瘍と考えられ問質成分の所見により良性，境界病変，悪性に分類されている。 葉状腫瘍中の悪性病変の割合は2．8～23％で悪性葉状腫瘍の約30％前後が遠隔転移を来すと言われており，その主たる部位は肺および骨とされている。 遠隔転移症例は一般的に治療抵抗性で予後はきわめて不良である。 今回我々は膵内胆管転移というまれな転移様式を示した乳腺葉状腫瘍症例に遭遇し，幽門輪温存膵頭十二指腸切除（PPPD）により転移巣を切除する経験をした。 術後早期に再発したがifosfamideを用いた化学療法が奏効し長期生存中である。 きわめてまれな症例と考えられるので報告する。