生気的悲哀感（Schneider)を訴える内因性うつ病の3例 励ましが無効で，休息と抗うつ薬が有効な「うつ病」

摘要

生気的悲哀感を訴えた内因性うつ病について3症例の治療経過を報告し，考察を加 えた。生気的悲哀感はSchneiderによって内因性うつ病の最も重要な症状のひとつとして， 精神療法の限界と身体的治療の適応を示唆する指標として理論づけられた。のちにKuhn は半ばSchneiderの理論を実証するかのように，内因性うつ病に対する三環系抗うつ薬の 有効性を発見した。さらにSchulteは生気的「悲哀」をむしろ悲哀不能として捉え直したう えで，内因性うつ病に対する精神療法的手立てを再検討した。近年，生気的悲哀感と内因 性うつ病概念はともに注目されることは少ないが，診断，治療の指標としての有用性は失われていない。