Quetiapine付加的投与により，著明な改善を認めたSSRI抵抗性の強迫性障害の1例

摘要

強迫性障害（Obsessive－Compulsive Disorder；OCD）の薬物療法は選択的セロトニン再取り込み阻害薬（Selective Serotonin Reuptake Inhibitors；SSRI)が中心であるが，SSRIの反応性が乏しい，ないし不十分な場合，他系統の向精神薬剤の付加的投与を行うことがある。 このような場合，Clomipramine，clonazepam，非定型抗精神病薬などが用いられている。 今回われわれはparoxetineにより十分な反応性が得られなかったOCD患者に対し，quetiapine75mg／日追加投与を試み，強迫や抑うつ症状などの著明な改善を認めた1例を経験したので若干の考察を交え報告する。症例提示に際し患者からのインフォームド·コンセントは取得し，要旨に影響しない程度の若干の変更を加えた。