被害念慮や気分易変性から問題行動に至り措置入院となった広汎性発逢障害の3症例

摘要

抄録：問題行動により措置入院となった広汎性発達障害の3症例について報告した。診断はァスペルガー障害2例，特定不能の広汎性発達障害1例であった。全3例の知能指数は80以上だが，2例では言語性より動作性の知能指数が20以上低く，処理速度も有意に低下していた。問題行動の出現には，青年期に出現した精神病様症状，幼少期からの気分易変性，広汎性発達障害の中核症状である強迫的傾向が単独あるいは共同で関与していた。薬物療法では精神病様症状には抗精神病薬，気分易変性には気分安定薬，必要ならば抗精神病薬の併用が有効であった。強迫的傾向は選択的セロトニン再取り込み阻害薬の適応と考えられたが，18歳未満だったので投与は控えた。