高安動脈炎に伴う両側性総頸動脈瘤に対し血行再建術を施行した1例

摘要

高安動脈炎に伴う症候性巨大総頸動脈瘤の稀な1例を経験した。 患者は22歳の女性で，頸部痛および左半回神経麻痺による嗄声で発症した。 頸部CTと血管撮影で，左総頸動脈に25mmの動脈瘤を認め，一部血栓化していた。 症状の改善を認めたため経過観察していたが，2カ月後に最大径10cmと著明に拡大した。 さらに，対側外頸動脈に新たに20mmの拡張病変を認めた。 急速な増大により破裂の危険が高く，さらに塞栓源となる可能性も考えられ，左総頸動脈瘤に対して手術を施行した。 6mmのGore-Tex ring付き人工血管にて，左頸動脈を再建した。 血液生化学的検査，臨床像，病理所見から高安動脈炎と診断した。 術後約3年を経過した現在，新病変は認めず，対側病変はほぼ消失している。高安動脈炎で両側頸動脈に限局する拡張性病変を示した症例の報告はなく，本例は動脈瘤の局在が稀な症例と考えられた。