局所血流変動モデルにおける皮内，皮下動態に関する研究-皮下固形腫瘍への薬物分布と滞留性-

摘要

多くの皮膚適用製剤は角層のバリア能により薬物の透過が著しく制限されるため，これらの制限を克服するための吸収促進法に関する研究開発が近年盛んに行われている。 とりわけ，iontophoresis，electoporation，microneedleおよび無針注射器といった物理的吸収促進法の発展は目覚しく，無針注射器においてはインスリンやヒト成長ホルモンの自己投与としですでに実用化されている。 これらの物理的吸収促進法を用いた場合，投与された薬物は皮膚表面から角層を通過して真皮へと分布するのではなく，皮内·皮下あるいは筋肉内へ薬物を直接注入した場合と似た挙動を示す。したがって薬物の皮内（あるいは皮下または筋肉）からの移行比率にも皮膚適用時と比べて何らかの変化が認められる可能性がある。