くすりを介して健康の見張り役を自任するフランスの薬剤師

摘要

フランスでは，薬剤師のことを〈健康のポリテクニシャン〉とも呼んでいる．〈ポリテクニシャン〉とは，もともとエコール·ポリテクニク（国防省理工科学校：通称Ⅹ）の学生，卒業生の呼び名で，その理工科学校は専門技術者としてのエリートを育てるためにフランス革命期につくられたものである．Xは今やフランスの政官産学にわたるトップ集団の符牒として知られている．1804年に第一執政ナポレオン·ボナパルトがこの学校を軍の所管としたのは，科学立国を周辺強国に誇示したいという強い意志があったからであろう．