合成球面波を用いたフェーズドアレーアンテナのビーム設計手法

摘要

マイクロ波を用いた無線電力伝送において、伝送効率および安全性向上の観点から重要な技術のひとつとして、フェーズドアレーアンテナを用いたビームフォーミングが挙げられる。特に、宇宙太陽発電所のような大規模な無線電力伝送においては、シンプルで見通しの良いビーム設計手法が求められる。そこで本研究は、合成球面波を用いたビーム設計手法を提案する。マクスウェル方程式の直交基底関数である球面波を、平面波の展開係数を用いて合成することにより、ビーム電磁界が得られることが明らかとなった。本研究が提案するビーム設計手法においては、この理想的なビーム電磁界の特定断面における振幅分布を、フェーズドアレーアンテナの入力として用いる。すなわち、本設計手法においては伝送電磁界がアンテナより先に決定するという特徴を持つ。本発表では、合成球面波の最大次数により求まる設計電磁界の特徴と、フェーズドアレーアンテナを用いて設計電磁界を実現した計算結果について述べる。