PNEMO-LTE：LTE-Advanced における DHCPv6-PD を用いたムービングセルの実現

摘要

近年，移動通信において増大する通信トラフィックを収容するためにスモールセルの導入が進められている．電車やバスなどの高速移動体には，中継基地局を車体に設置した移動式スモールセル「ムービングセル」が配備されることが検討されている．そこで本稿では，LTE-Advanced において車内ユーザをまとめて管理するネットワーク制御型ネットワークモビリティプロトコル PNEMO-LTE を提案する．スモールセルを構成する中継基地局ノードに委譲したプレフィックスに属する IP アドレスを移動端末に利用させることで，LTE-Advanced のコアノードが保持すべき経路情報の集約を実現する．ゆえに中継基地局ノードのハンドオーバ時のシグナリングパケットは接続される端末の数に依存しない．本提案方式は，LTE-Advanced の各ノード間インタフェースやシグナリンシーケンスを維持する．各ノードをデーモンとして Linux に実装し，基本性能の評価として移動端末，中継基地局の接続およびハンドオーバの処理時間を測定した．測定の結果，PNEMO-LTE が TCP ベースのアプリケーションの利用許容パケット遅延時間内で動作するが，音声，ライブストリーミング動画，インタラクティブなゲームでは QoS に課題があることが確認された．