災害時における画像情報の品質変更を利用した情報伝送手法

摘要

大規模災害における救命率を向上させるため，IT を駆使した要救助者に関する情報収集が求められる．救命情報共有システムでは，OpenFlow を駆使した無線回線の効率的な運用と METHANE と呼ばれるフレームワークを用いて，要救助者情報の収集や提供を行っている．しかし，METHANE 情報のみでは，災害現場の詳細な状況を認識することは困難である．災害現場の迅速な情報の収集と共有を図るためには，METHANE 情報とは別の情報が必要となる．そこで，画像情報などの被害状況を直感的に把握できる被災地情報を収集することは有用だと考えられる．しかし，被災地情報の伝送は災害時の不安定なネットワーク下での METHANE 情報の伝送に影響を与える．そこで，本稿では，災害時における画像情報の品質変更を利用した情報伝送手法を提案する．この提案では，METHANE 情報の伝送に影響を与えることなく，迅速に高品質な情報を収集することを目指す．METHANE 情報に影響を与えない画像情報の伝送を可能にするために各コンテンツに対してフローを分離し，異なる回線を割り当てる．また，迅速な被災地情報の収集を行うために，回線の余剰帯域の算出と情報品質の変更を行う．本稿では提案手法のプロトタイプシステムを実装し，被災地情報の迅速な収集と高品質な情報の提供という点から提案手法の有用性を示す．