光電容積脈波法(PPG:Photoplethysmography)は,非侵襲で単純な心拍センス法の一つであるが,運動中の人間にそれを適用すると,出力に体動ノイズが混入するという問題が生じる.さらに,心拍センサの体表面への固定圧が小さい場合,“異常値”と呼ばれる極めて大きな値がセンスされた心拍値に現れる.我々は,体動ノイズをキャンセルし異常値を削減するPPGに基づいた心拍センサを提案し,激しい運動時にもそれが有効に動作することを確認した.提案心拍センサには,より良い特性を得るために調整すべき複数のパラメータがあるので,それらの最適値を決定するためには,異なる被験者を用いた実験を数多く行う必要がある.しかし一方で,実験が煩雑であるため被験者数を大きくできないというジレンマがある.本稿では,提案心拍センサのパラメータを交叉検証により最適化する方法を議論する.10名の被験者で得られた実験データに対してパメラータ値を変化させながら一個抜き交差検証(LOOCV:Leave-One-Out Cross Validation)を適用し,心拍数の二乗平均平方根誤差(RMSE:Root Mean Square Error)が最小となるパラメータの組合せを決定する.その結果,歩行,走行,跳躍に対して,7.1(bpm:beats per minute)以下のRMSEが得られることが判明した.
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