パケット無線アクセスを用いるEvolved UTRA上りリンクにおける対象ユーザを識別するセル間送信電力制御法

摘要

パケット無線アクセスを用いる上りリンクEvolved UTRAにおいて，周辺セル干渉の変動を低減するために，自セルからの制御情報に基づくセル内送信電力制御(TPC: Transmission power control)に加えて，周辺セルから送信されるOLI (Overload indicator)を用いるセル間TPCが提案されている．本稿では，周辺セルに大きな干渉を与えるユーザの送信電力をより高精度に制御するため，伝搬ロス差が基地局から通知される閾値よりも小さい場合にのみ，ユーザ共通のOLIに従うセル間TPC法を提案する．また，ユーザ個別にOLIを送信することにより，周辺セルに大きな干渉を与えるユーザの送信電力を効果的に制御することができるセル間TPC法を提案する．システムレベルシミュレーションにより，都市部を想定した建物侵入損が変動する伝搬モデルにおいて，提案のユーザ共通，および，ユーザ個別のOLIに基づくセル間TPCの適用により，セル内TPCのみを用いる場合に比較して，同一のセクタスループットを実現する平均ユーザスループットをそれぞれ，約80％，110％改善できることを示す．