ブロードバンドDS-CDMAにおけるマルチパス干渉キャンセラを用いるQRM-MLDのスループットおよび演算処理量の比較評価

摘要

本稿では，ブロードバンドDS－CDMAのMIMO (Multiple－Input Multiple－Output)多重において，先に提案した,2次元MMSE (Minimum Mean Squared Error)に基づくマルチパスキ渉除去（MPIC: Multipath Interference Canceller)を適用したOR分解およびMアルゴリズムを用いるシンボルレプリカ候補削減型MLD (Maximum Likelihood Detection)（以下，MPICを用いるORM－MLD法）のマルチパスフェージングチャネルにおけるスループット特性および演算処理量を，従来の2次元MMSE法，ORM－MLD法，およびターボ復号後のデータを判定帰還テータとして用いるシリアルキャンセラ法（以下，SIC法）と比較評価した．シミュレーション結果より，40－MHz周波数帯域幅を想定したブロードバンドDS－CDMAパケットアクセス（拡散率16の15コード多重）の4送受信アンテナのMIMO多重において，MPICを用いるORM－MLD法は，8PSK変調および符号化率R＝3/4のターボ符号化を用いたとき（最大情報レート約260Mbps），平均ブロック誤り率(BLER: Block Error Rate)が10{sup}(-1)を満たすのに必要な所要の1ビット当たりの平均受信信号エネルギー対雑音電力密度比（E{sub}b/N{sub}0）を，従来の2次元MMSE法に比較して約7.0dB，SIC法に比較して約3.0dB低減できることを示した（6パスマルチパスフェージング，r．m．s．遅延スプレッド0.35μsec，f{sub}D＝20Hz）．さらに．MPICを用いるORM－MLD法は，300Mbpsのスループットを平均受信E{sub}b/N{sub}0が約12dBで実現でき（8PSK変調およびR＝8/9），この場合の演算処理量を，2次元MMSE法に比較して約10倍，SIC法に比較して約2.8倍に抑えることができることを示した．