大規模MIMOにおける確率伝搬法を用いた16QAM信号検出

摘要

近年，急速に増大するトラフィックに対応するため，送受信機に100素子規模のアンテナを用いる大規模MIMOシステムが注目されている．本システムにおいては，送受信アンテナ数の増大に伴う演算量の増加への対応が必要となる．一般的な空間フィルタリング手法（ZF，MMSE）を適用する場合，最低でも素子数の3乗に比例した演算が必要とされる．しかし，確率伝搬アルゴリズムを用いた信号分離手法を適用することで，素子数の2乗に比例した演算量に低減するとともに，QPSK変調環境において良好なBER特性を実現することが既に確認されている．また，これまでの検討において筆者らは，理想的な条件を想定した16QAM変調時の大規模MIMOシステムにおける確率伝搬法の適用について検討を行った，その結果，誤り耐性の高いビットから先に処理を行うノード選択による特性改善効果を確認した．本稿では，確率伝搬アルゴリズムの処理内での残留干渉電力について，現実的な条件を想定した3つの算出方法について特性評価を行い，理想条件以外の場合においても誤り率特性が収束に近づくことを確認した．