半波長共振器の並列アレー構造を用いたマイクロストリップ有極帯域通過フィルタの設計

摘要

筆者らは，共振器並列形フィルタ回路の合成理論に基づく有極形マルチモードフィルタの設計法を報告してきた．しかし，マルチモードフィルタの設計では複数の共振モードが同時に励振されるため，共振モードごとに外部Q値を独立に制御することが困難という問題があった．そこで本稿では，偶奇モード共振を個別に励振できるようにするため，マイクロストリップ半波長共振器を入出力線路に対して並列に配置した新しい有極帯域通過フィルタの構造を提案する．提案フィルタは，半波長共振器の終端を開放または短絡することで偶奇モード共振を実現するという簡易な構成である．さらに，飛越結合を用いずに共振器の外部Q値の制御のみで阻止域に伝送零点を任意に配置できるという特長もある．提案したフィルタの設計例として，中心周波数2GHz，比帯域6%の通過域，そして阻止域に4個の伝送零点を有する4段帯域通過フィルタの設計を行っている．最後に，設計したフィルタを試作·測定することで提案フィルタの有効性を実験的にも実証している．