BIMの国際情勢

摘要

2004年には，米国の国立標準技術研究所（NIST：National Institute of Standards and Technology）が建設産業における情報共有·伝達に関するコストの分析を行い，建設プロジェクトにおける情報共有が不適切なために年158億ドル（約2兆円）がアメリカの社会資本整備において無駄なコストとなっており，その3分の2は建物のオーナが負担しているとの調査報告を纏めている。それを改善するには，建設プロジェクト内の情報流通を促進してコミュニケーションを改善すること，使用されるソフトウエア間の相互運用性向上のためにBIM の採用や中立なデータ形式が重要であることを指摘しており，BIMデータの標準規格としてIFCを紹介している。また，米国の建物オーナからなる建設ユーザ円卓会議CURT（Construction Users Round Table）が発表した白書は，建物オーナの視点から，建設プロジェクトで頻繁に見られるコストや工期のオーバランに対しての課題解決を検討しており，その解決策としてオーナ自らのリーグシップによる協調的で統合的な建設プロジェクトチームの立上げ，BIMによるオープンでタイムリーな情報共有等を挙げている。この辺りからBIMは，建設プロジェクトの課題解決に役立つ手法として着目され始めた（写真－1）。