国産大型ロケット技術の現状と将来

摘要

現在，日本の主力ロケットとして活躍している国産大型ロケット「H-II A」は独立行政法大宇宙航空研究開発機構(JAXA）が中心となって開発した人工衛星打ち上げ用ロケットである。 H-II Aロケットは，様々な衛星の打ち上げ能力要求に対して柔軟に対応できる能力を持ち，世界水準の打ち上げコストを実現することを目的として開発され，2001年に初飛行に成功した。 2003年に日本の三つの宇宙機関が統合してJAXAが誕生し，最初の打ち上げとなった6号機で初めての失敗を経験したが，2005年に信頼性を向上して生まれ変わった7号機の打ち上げに成功し，以降最強型であるH2A204型の飛行にも成功し，12号機まで日本の基幹ロケットとして，連続成功を続けている。 現在，国際宇宙ステーションへの物資補給を行うことなどを目的として，H-II Aロケットの技術をベースにさらに打ち上げ能力を向上したH-II Bロケットの開発が，平成21年度の試験機打ち上げを目標として進められている。