海馬歯状回頼粒細胞の樹状突起上における空間情報·非空間情報の相互作用

摘要

海馬歯状回顆粒細胞の樹状突起は、嗅内野II層から場所などの空間情報と匂いなどの非空間情報の2系統の異なった入力を受ける。そしてこれらの情報は、樹状突起の遠位部と中位部にわかれてそれぞれ独立に入力することが知られている。先行研究において、この空間情報を記憶する際に匂いを嘆がせると海馬依存的な再認課題の成績が有意に向上することが報告されていることから、非空間情報が空間情報の処理に影響を与えている可能性が考えられる。しかし海馬においてこれらの情報が細胞レベルにおいてどのように処理されているのかは分かっていなかった。本研究では、歯状回顆粒細胞の樹状突起に入力される空間情報と非空間情報の処理様式を電気生理実験とモデルシミュレーションにより明らかにすることを試みた。結果として非空間情報の入力により空間情報のパターン分離機能の向上が見られた。