漁業用人工餌を求めて－嗜好性と嫌忌性化合物を追い続けて

摘要

人の食べ物の世界において、日本人は米が、アメリカ人は牛肉が、イタリア人はスパゲッティが、ドイツ人は豚肉が好きだとか、また飲み物はそれぞれ日本酒が、ウイスキーが、ワインが、ビールが好きといったように人種によって大まかに分類できるように思える。 このような食べ物や飲み物には味や匂いに関与する多くの化合物を含んでいて、それら化合物の複合的な効果が嗜好性（あるいは嫌忌性）に貢献しているのである。 人種によって好きな食べ物が異なるようであるが、共通の嗜好性成分はアミノ酸であるように思える。 また、前述の飲み物では好きな共通な化合物はもちろんエチルアルコールである。 しかし、このような単独の化合物がその食べ物、あるいは飲み物を代表しているのではなく、塩、酸、甘、苦などの味物質が複合的に貢献し、特有の風味をかもし出しているのである。 塩、酸、甘、苦などはそれぞれド、レ、ミ、ファなどの音階に例えられ、合わさって、すばらしいメロディーを醸し出すように思える。