弛張振動共振回路を付加した二重弛張振動SQUIDを用いたデジタルSQUIDのノイズ特性

摘要

二重弛張振動SQUID（Double Relaxation Oscillation SQUID：DROS）は磁束コンパレータとして動作し、弛張振動（Relaxation Oscillation：RO）に伴い発生するパルスをデジタルSQUIDを構成する単一磁束量子（Single Flux Quantum：SFQ）論理回路のクロック信号とSFQフィードバックパルスとして利用することが可能である。ROは直流電流バイアスのみで発生するので、外部クロックを必要としない簡便なデジタルSQUIDが実現可能である。デジタルSQUIDにおいて、DROSにRO共振回路を付属することにより、RO共振回路のRO周波数にDROSのRO周波数が引き込まれデジタルSQUIDの高速動作と安定動作領域の拡大に効果があることを報告してきた。今回は弛張振動周波数を安定化することにより、デジタルSQUIDのノイズ特性に及ぼす効果について検討した。シミュレーション結果から、SFQフィードバックによるデジタルSQUIDの磁束分解能はほぼ量子化ノイズにより決定されること、および都市雑音環境下で動作可能であることが確認された。