単一磁束量子読み出し回路に基づく超伝導センシングシステムのための信号多重化技術

摘要

本論文では、単一磁束量子（SFQ）読み出し回路に基づく超伝導センシングシステムのための信号多重化技術として、時分割多重化（TDM）と符号分割多重化（CDM）の方式を検討した。これらは、超伝導センサを多チャネル化したときの低温からの配線数の減少や、スルーレートの向上に有効である。各センサから出力されるSFQパルスを数えることができるSFQアップダウンカウンタを用い、外部からclockを入力し、SFQアップダウンカウンタを順番に読み出すという方法で信号を多重化する。超伝導センシングシステムとしてディジタルSQUID磁気センサアレイの信号をそれぞれの方法で多重化させ、その出力信号から入力波形の再構築をシミュレーションし、出力信号から入力波形を再構築できることを確認した。32チャネルのディジタルSQUID磁気センサをTDM方式で多重化した場合、室温機器と低温回路を結ぶ配線数は11本、多重化されたディジタルSQUID磁気センサのスルーレートは4.0×10~9Φ_0/s、CDM方式で多重化した場合、室温機器と低温回路を結ぶ配線数は26本、多重化されたディジタルSQUID磁気センサのスルーレートは1.0×10~(11)Φ_0/sと見積もられた。SFQ 4-bitアップダウンカウンタを用いた2チャネルのディジタルSQUID磁気センサのTDMの測定を行い、出力信号から、入力波形を正確に再構築することができた。