アルカリ性水溶液を含む圧縮ベントナイト中での炭素鋼の耐食性に及ぼす微量合金元素の影響

摘要

高レベル放射性廃棄物の地層処分においては，廃棄物のガラス固化体を収納した容器を金属製オーバーパックに入れ，これをベントナイトが圧縮充填されている処分坑中に埋設することが考えられている。 オーバーパックの材料としては，炭素鋼が最も有力な候補として挙げられている．処分坑の支保工にコンクリートが使用された場合，オーバーパック材料は坑壁のコンクリートと坑内に充填されたベントナイトの両者を透過した地下水，すなわち塩化物含有アルカリ性ベントナイト接触水による腐食を受ける可能性がある．普通ボルトランドセメントが使用された場合，コンクリートを透過した水のpHは13.5にもなるが，しかし，ベントナイトにはpH緩衝作用があるので，ベントナイト内の空隙水のpHとしては約12.5までが想定されている2）。 pHが高い水溶液環境では炭素鋼は不働態化するため，塩化物が水溶液中に含まれているときには腐食が局在化する恐れがある。 このため，谷口ら2）はpH7.7から13.4の炭酸塩一塩花物水溶液中やの炭素鋼の平均腐食深さと孔食係数を調べて障る。 その結果，このpH範囲では顕著な腐食の局在化は認められなかっおとしている。 しかし，圧縮ベントティ市中でのpHの違いによる腐食挙動の変化については報告されていない。