銅合金の流れ誘起局部腐食に及ぼすNiおよびBeの影響--海生生物防汚性にも耐食性にも優れた銅合金

摘要

本研究では，防汚性にも耐食性にも優れる銅合金を得ることを目的とした。 その内，本報ではすき間噴流法試験装置を用いて，ベリリウム-銅-ニッケル合金の流れ誘起局部腐食試験を行い，耐食性に及ぼすニッケルとべリリウムの影響について調べた。 得られた結果を以下にまとめる。 （1）ニッケルの含有量を増やすと，いわゆるエロージョン·コロージョンの発生を抑制することができる。 また，流速差や渦に起因する局部腐食に対してもかなりの抑制効果が認められる。 しかし，ニッケルの含有量を増やし過ぎると極めて深い孔食が発生する。 （2）ベリリウムを含有させると，皮膜が緻密に形成され浸食面の形状が滑らかになり，最大浸食深さを浅く抑えることができる。 （3）これらの結果から，試験の対象となった合金の内では，30CuNi，Be30CuNiが最も耐食性に優れた材料であると判定された。 また，70CuNiとBe70CuNiは，少流量域において，平均腐食速度も最大浸食深さも30CuNi，Be30CuNiと同程度の低い値を示したので，この条件下では耐食性に優れていると判断した。