高温酸性およびアルカリ水溶液中における690合金と800合金の粒界応力腐食割れ感受性と粒界特性との相関性

摘要

690TT合金と800SP合金の耐酸および耐アルカリIGSCC性を600合金賢わ比較の下に評価し，以下の知見を得た。 （1）酸性水溶液中では，800SP合金のIGSCC感受性は高かった。 このことは，結晶粒界にすべり変形が生じ酸化皮膜が破壊された場合，同合金の主化学組成のFeおよびNiが形成する酸化皮膜の溶解度が大きく，粒界で選択溶解を生じるためと推定された。 690TT合金では，IGSCCの発生は認められなかった。 このことは，酸性水溶液で安定なCr203酸化皮膜を形成することと，結晶粒界でのすべり変形が生じにくいためと推測された。 （2）アルカリ水溶液中では，800SP合金のIGSCC感受性は極めて低かった。 このことは，アルカリ水溶液中で安定なFe_3O_4酸化皮膜を形成するためと考えられる。 690TT合金では，IGSCCの発生は認められなかった。 600MA合金のIGSCC感受性が高く，600TT合金および690TT合金のIGSCC感受性が低いことより，TT合金では結晶粒界のすべり変形が著しく抑制されるためと推測された。