柱脚の地震被害、設計法、設計実務に関する日米比較

摘要

米国ノースリッジ地震で損傷した柱脚の被害例を紹介し、柱脚設計の背景となる研究、設計の考え方と設計法を検討した。 また、米国と日本の柱脚設計を比較した。 主な知見は以下の通りである。 [1]米国で使われる代表的鉄骨柱脚形式は露出柱脚であり、AISC Design Guide にその設計法が包括的に示されている。 Design Guide にはASDとLRFDの2通りの設計法が示してある。 Design Guide は非地震地域を含む全米で用いられるものであり、鉛直荷重が作用する柱脚の設計法に主眼がおいてある。 地震地域の設計を規定する、AISC Seismic Provisionsには、その最新の2002年度版で、初めて柱脚の設計法に関する記述が盛り込まれた。 [2]米国の設計法は、日本の柱脚の弾性設計法に類似している。 兵庫県南部地震以降に推奨されている日本の設計と米国のASDおよびLRFDを比較すると、許容応力度について日本はASDの約1.3倍、柱脚の設計荷重についても日本はASDの1.3倍であるので、いずれもほぼ同じ柱脚が設計されることになる。 ASDはLRFDより若干安全側の設計になるが、許容応力度についてLRFDはASDの約1.5倍、柱脚の設計荷重についてもLRFD はASDの1.5倍であるので設計に大差は生じない。