ボイラー水側の腐食抑制と水質管理

摘要

ボイラーの構造材に生じる障害としては，水質条件に加えて材料特性と応力条件が関与して進行することが報告されている。このうち水が関与する障害にはその原因によって次の三つに大別される。 （1）スケールの生成蒸発管内面に生成して伝熱障害を起こし，過熱，膨出，破裂を起こしたり，各種管路の流動障害およびタービンの効率低下などを起こす。（2）腐食孔食，腐食割れなどによる構造材の強度低下，または水中の不純物（腐食生成物）の増加がある。 （3）キャリオーバ蒸気の品質不良，泡立ちによる運転障害，配管のハンマリンク，またはシリカスケールによるタービンの出力低下を生じる。 このうち（1）および（3）の障害については，補給水処理の徹底によって抑制できると考えられる。（2）の腐食はその防食と表裏の関係にあり，ここでは腐食抑制のため鉄の表面に生成させる不働態膜に関する基礎的事項について概要を記述する。