太陽光発電設備発電効率向上のための－部分陰用電磁リレーの開発と評価

摘要

太陽光発電システム（PVシステム）の健全な普及のため発電効率の維持向上が求められている．また福島原子力発電所の事故後その傾向はさらに強まっている．PVシステムによる発電をより効率的にしていくには，PVシステムのあらゆる環境条件におけるすべての要素の効率を向上させる必要がある．しかし多くの研究は太陽電池の効率を向上させることについて行われている．その結果，太陽電池の効率は理論限界値に近づいてきている．PVシステムの大きな課題の一つとして，雲や電柱，建物などでPVアレイの一部分に陰がかかることにより，PV アレイが日射を均一に受けない場合の発電量を上昇させることがある．部分陰がある場合，P-V特性に複数のピークが表れる．この複数のピークの存在はMPPTのアルゴリズムを複雑化させるだけでなく，最大出力電力を低下させることにもなる．複数のピークのうち小さい方をMPPTが捉えてしまった場合，さらに大きな電力損失が生じることになる．陰による発電量を回復させる方法の一つに昇圧DC／DCコンバータを使用する方法がある．しかしこの方法はストリング全体が陰の場合には効果があるが，ストリングの一部が陰の場合効果が小さい．その原因はP-V特性のピークが複数になることにある．