太陽電池の出力性能は、基準状態(Standard Test Condition)の下で行うことがIEC及びJIS規格で定められている。しかし屋外の動作環境は、日射強度が絶えず変化し1kW/m~2になることは快晴日でかつ南中時のときのみである。一方で、太陽電池の温度は夏場で約70~80℃に達し、屋内測定時の温度である25℃とは約50℃の差がある。また分光放射スペクトルにおいても、AM1.5は年間の特定の時間帯でしか満たすことはない。そのため、STC時の性能と屋外性能の間には大きなギャップがあることから、屋外性能を正確に予測する技術が求められている。そこで本論文は、屋外性能を予測するための手法として、直線補間法を用いた。本手法は、産総研の菱川·津野らが提唱する手法で、屋内測定の推定精度が高く、数種類の太陽電池に適用可能であることを実証している。本手法は、予め用意した4つの条件のリファレンスIVカーブ(①高日射·高温度、②高日射·低温度、③低日射·高温度、④低日射·低温度)と、日射強度(或いは実測した被測定太陽電池の短絡電流)と太陽電池動作温度を用いて算出可能である。筆者らは本手法を用い、設置して間もない屋外出力結果を基に推定を行った結果、出力推定誤差の標準偏差が0.5%以内であることを示した。筆者らは、それから4年が経過した太陽電池モジュールに対して同様の手法で推定を行い、推定値と実測値の差が推定精度より大きいとき、太陽電池の劣化が進行していると判断できると考えて解析を進めた。
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