米州経済統合に向け新たな一歩

摘要

米州域内の統合を目指した「米州自由貿易地域（FTAA）」構築への動きは現在，頓挫状態にある。ところが昨今，米州経済統合への一歩になり得る新たな動きが出てきた。中南米の太平洋岸11カ国で結成されている，いわゆるラテンアメリカ太平洋アーチ（Arco del Pacifico Latinoamericano，本稿ではAPLと略す）の動きだ。各国FTAや環太平洋戦略的経済連携協定（TPP）など既存の環太平洋FTA網を核にしてそれを拡大していこうというのだ。この新たな統合手法が，FTAAに代わり米州統合経済圏をもたらす可能性がある。