東アジアの経済統合はシンガポールの地域統括機能に有利か

摘要

東アジアのビジネスには三つの課題がある。第1は米国発の金融危機で大きな打撃を受けた輸出，国内市場に対応した供給体制の調整。第2は，東アジアで急速に進みつつある自由貿易協定(FTA)／経済連携協定(EPA)をテコにした市場統合プロセスに対応した海外拠点の再編，集約。そして第3は，経済危機後の東アジアを展望したビジネス戦略の策定と，その実行を担う組織，人材の整備である。これら三つの課題は，いずれも相互に深く関連している。「組織は戦略に従う」といわれる。中長期的なグローバル戦略，リージョナル戦略を描くとき，東アジアの地域統括拠点をどこに置くのが合理的だろうか。