油圧機器用パッキンの技術動向

摘要

近年では，図1（論理展開図）で示すように油圧機器における省エネ化·クリーン化·安全性といった環境重視の社会情勢がみられる。省エネ化については，様々な産業分野で地道な努力がなされており，油圧システムを効率よく利用するための手段として，高圧化による機器の小型化および軽量化が図られている。また，そこに使用されている油圧シリンダも当然のことながら高圧化が進められている。シリンダ用パッキンにとって高圧化は耐圧性の問題のみならず，高圧化に伴う温度上昇やその他全般的な使用条件の過酷化に伴い，より一層の耐摩耗性·耐熱性·密封性向上の要求が進んでいる。さらにクリーン化（油の飛散や漏れても土壌や水資源を汚染させない）を目的とした生分解性作動油や，防爆などの安全性を考慮した水·グリコール系作動油（難燃性作動油）などで安定した性能を維持できるパッキン形状や材質の要求が増えている。ここでは，それらの要求仕様に合せた油圧シリンダ用パッキンの種類と特徴および材料特性について述べる。