エンジニアリングプラスチックの自動車分野への適用

摘要

エンジニアリングプラスチック（エンプラ）の歴史は1938年のデュポン社によるナイロンの発売から始まる。同じくデュポン社の「金属に挑戦するプラスチック」としてはじめて使用したことからエンジニアリングプラスチックの言葉が生まれた。定義として広い意味では「金属代替も可能な高性能プラスチック」としているが、具体的には「汎用プラスチックに比べ、強度や熱耐性に優れ、工業用素材として、構造および機能部品に使用される高性能プラスチック」と定義されている。自動車分野へのプラスチック類の適用の歴史は古いが、加速が進んだのは、オイルショックと考えられる。石油の不足により自動車の燃費低減への要求が一気に高まったことが原因と考えられる。プラスチックは、1973年、鋼材に比べ、使用率が3％弱であったのに対し、1992年には97.3％まで拡大している。現在も、環境対応や資源の有効活用のために、自動車の軽量化が進んでいる。本稿では、こうしたエンプラの自動車分野での使用用途について、ポリアセタールとPEEKに関しては他稿に説明を譲り、それ以外の主なエンプラに絞って紹介する。