特定放射性廃棄物の地層処分概説

摘要

「もんじゅ」のナトリウム漏洩事故,JCO手件,技術的事実の隠蔽·虚偽報告等の不祥事により，国民の原子力発電への信頼は著しく低下している。 JCO事件,事実の隠蔽·虚偽報告は技術乳管理者の倫理観の欠如から生じたことは残念なことである。 化石エネルギーをほとんど海外からの輸入に頼っている我国において，発電量における原子力発電の占める比率は約35％と大きなものになっている。 天然ウランの可採年数は約64年であり，海水中のウランの実用的利用,あるいは高速増殖炉の実用化がなければ，原子力発電は石油·天然ガスの代替にはなり得ない。 その上，原子力発電には高レベル放射性廃棄物の人体への悪影響および半減期の途方もない長さ（短い方ではストロンチウム90で約29年，セシウム137で約30年，長い方ではジルコニウム98は約153万年，ネプツニウム237に至っては約214万年）等から，安全で長期にわたる処分という，更なる大きな問題がある。