食品焼成用オーブン庫内における加熱環境測定装置の開発－リールオーブン内の温度·湿度分布のワイヤレス測定

摘要

食品加工や調理において，加熱調理のための機器としてオーブンが広く利用されている．伝熱工学的な観点で見ると，オーブンは庫内の熱せられた湿り空気の流れによる対流伝熱，ヒータや庫内壁面からのふく射伝熱，天板（炉床）からの伝導伝熱など，複数の形態の伝熱を利用して食品を加熱する機器である．そのため，オーブンによる加熱において，庫内空気の温度，湿度やその空間分布，風速，ヒータや壁面の温度，食品の振動（動き）など，￣さまざまな加熱条件が，加熱後の食品の焼き色，体積，テクスチャーなどの仕上がりに影響を与える．また，食品加熱を短時間で大量に行なう食品工場においては，一般的な扉開閉式のバッチ式オーブンのほか，ベルトコンベアにより食品を移動させながら焼成する連続式オーブン．対流伝熱を積極的に利用するコンペクションオーブン，水蒸気を庫内に供給できるスチームオーブン，伝導伝熱とふく射伝熱を積極的に利用するデッキオーブンなど多くの種類のオーブンが利用されており，目的に応じて適切な加熱環境を実現できる機種が選択され使用されている．