直線探索付き反復勾配法を用いた分散制御による電力ネットワークの系統周波数制御

摘要

本稿では直線探索付き反復勾配法による分散制御を提案する．本稿の提案制御則は制御入力を直線探索付き反復勾配法によって決定することで，他系統の内部情報を必要としない分散的な制御が達成される．また，提案法は最適なステップ幅を毎時刻計算しているため，分散制御を用いている文献3）と比べてコスト関数を抑えることができる．そしてArmijoとWolfeの規準を満たすような直線探索を行なっているため，収束性を保証することができる．最後に風力発電，蓄電池群，ヒートポンプ群などの分散型電源を導入した電力ネットワークの周波数制御に対して提案手法を応用し，従来法と比較を行なう．そして提案制御則の有効性をシミュレーションで示す．本稿では以下の表記法を用いる．Z_＋は非負の整数の集合である．R~nはn次元の実数空間を表わす．行列Qに対してQ>n（Q≧0）はQが（半）正定値行列であることを表わす．また，エージェントのiとiが連携線で結ばれているときは（i,j）∈Nと表記する．またiに接続されているエージェントの集合をN_iと表現する．