連続電気探査法による河川堤防内への降雨水浸透状況の推定

摘要

法尻から浸出現象が確認されている河川堤防において，浸透メカニズムを特定する目的で，従来から行われている観測孔を用いた間隙水庄測定と，比抵抗の自動無人計測が可能な測定方法（連続電気探査法）を併用した。その結果，調査箇所において，堤体への浸透現象は降雨と密接な関係があり，見かけ比抵抗の変化として検出された。見かけ比抵抗変化は地表付近に限定されており，間隙水庄測定結果と調和的な傾向を示している。 また，見かけ比抵抗の変化が大きい箇所では，実際に浸出現象が確認でき，連続電気探査法の適用性を確認することができた。 このような，従来からの観測孔を用いた調査法と，物理現象を連続的に把撞する連続電気探査法などの物理探査手法の組合せは，降雨の浸透や流動による斜面や盛土の安定性の問題や，洪水時の堤防のモニタリング手法への通用性が考えられ，今後も積極的に取り組むべきであると考える。