地中探査レーダのための逆投影ヒストグラム法による画像再構成

摘要

地中には通信·電力·ガス·水道用のケーブルおよび管路等の重要なライフラインや施設が数多く埋設されているが，それらの位置が正確に記録されている場合は必ずしも多くない．そこで，たとえば道路工事の前には，地中埋設物の有無やその位置の検出を地上から非破壊的に行なう必要がある．また，事故や災害を未然に防ぐという観点から，道路下の空洞の検出や地層の状況などを把握したいという需要も多い．現在，地中埋設物の検出に，マイクロ波を応用した地中レーダが幅広く利用されている．観測結果は地中レーダ画像として表示されるが，マイクロ波は指向性の広がりを有するにもかかわらず，指向特性が超指向性をもつものとして作画され，水平分解能が悪くボケた画像になってしまうという欠点が指摘されている．一方，送信液も理想的なインパルスではなく時間的に広がっておりまたリンギングの影響によりゴーストが現れ垂直分解能にも問題がある．したがって，このような地中レーダ画像から埋設物の位置·形状を読み取るには，多くの勘と経験を必要とし，非専門家による認識は容易でないのが現状である．