垂直な中心線に対称なモデル物体による重力の鉛直勾配計算式と等値線図の主な特徴

摘要

産業技術総合研究所地球科学情報研究部門（旧地質調査所）では災害予防·環境保全に役立てるためGravity map seriesとして20万分の1縮尺の重力図を発刊してきている。 「青森地域重力図」（広島ほか，1989）を手始めとして東北地方の全域をカバーし，北海道地方については「天北地域重力図」（駒澤ほか，2001）をもって全域の刊行を終了した。 引き続いて九州地方の重力図の編集に着手し，その第1号として「大分地域重力図」（広島ほか，2001）が発刊され，現時点では第6号の「屋久島地域重力図」（駒澤ほか，2005）が刊行されている。 これらの重力図には同心円状の重力異常が多数見られる（例えば，阿武隈地域重力図（牧野ほか，1995）に見られる同心円状の低量力異常（Fig．1））。 これらの重力異常を解析するためには垂直な中心軸に対称な物体による重力及び鉛直勾配の計算式が必要であり，地下構造を把握するためにはこれらの物体による等値繰回の特徴を知る必要がある。