ホットスポット：顕微鏡で観る先太陽系·原始太陽系化学

摘要

星間空間には，H2を主成分とするガスと塵（星間塵）が存在する。その中でも特に，密度が高く（分子 個数密度＝10~2～10~4個／cm~3），10～50Kという極低温な領域を分子雲と呼ぶ。分子雲を含む星間空間では，これまでに170種以上の分子が観測されており，その大部分は炭素を含む化合物である（Ehrenfreund，2015）。また，赤外吸収スペクトルの解析によって，星間塵は，ケイ酸塩粒子を中心核として有機物や氷の マントルで覆われた構造をもつと推定されている（例 えばGreenberg，1998；Bernstein et al．，1999）。太陽系は，約46億年前に分子雲の一部が重力収縮して誕生したため，有機物は太陽系の原材料となった重要な物質の1つであることがわかる。